【擬人カレシ】ミケの日常(小説)

記憶の欠片 ーspringー(後編)

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夜、食事の後に桜が咲く場所についた。
桜はたくさん植えられて森のようになってる。
昼間だったら中に入れるだろうが街路灯がついて明るいとはいえ中には入る気にならなかったので道から見ることになった。
とはいえ、例年通りだったらもう3月の半ばといえば花が散って葉が出てるころだが今年は寒かったことで開花が遅れていた。
彼らが来たころには少々散りかけで花びらが舞っていた。
丁度、見ごろといえばそうだと言うやつだ。
夜で人は少ないとが犬の散歩をする人、ジョギングをする人、桜を見に来てるカップルなどがいた。
そんな中をミケとゆうまも桜を眺めている。
「この桜だ。なんか色が濃くってきれいなピンクの!これが見たかった」
ミケは眼を輝かせた。
「これはカワヅザクラって言うんだ。この濃いピンクがなんか好きなんだよな。よく知られてるソメイヨシノより早く咲くんだ。まさか去年のキツネと又いっしょに今年も見に来るなんて思わなかったな」
ゆうまはそう言うとミケの顔を見た。
「ところで手はもう平気か?きれいに治ったか?たしか、歩けて狩り出来る状態で森に返してると思ったが?」
「ゆうまのお陰で前足きれいになった。あの後いっぱい狩してネズミとか食べたが?」
ミケがそう言ったところでゆうまがどうしてか後ず去りして離れた。
「どうした?」
「今思い出したけどエキノコックス大丈夫か?予防接種とか治療とか受けてるよな?」
「は?」
ミケは思わず眼が点になる。
今更か?散々キツネだった俺と巴衛とじゃれまくっといてしかも家に来てから半年以上経っておどろくか?
「とても研究員のセリフとは思えないが?保護された時もゆうまがなんか検査してただろ。でもって人の体になる前も義務だってやってただろ。でもって人の体になってからもエキノなんとかの予防接種受けてるが?」
どうかしたかといわんばかりだ。
「そうだったな」
ゆうまは笑った。
「それよりも・・・ゆうま・・・・?」
キッとミケは睨んだ。
「お前に聞きたいことがある。桜の下で俺と二人っきりだから隠さずに話せるよな?」
「え?ものによるが?何?誘導尋問?」
ゆうまはきょとんとした。
「さっきの薬はなんだ?どこか悪いのか?悪いから飲んでるんだよな?」
「え!?あれのことか・・・・あれは・・・」
「言えよ!どっか悪いんだろ?なんで俺に隠してるんだよ!明らかに風邪とかの一時的に飲んでる薬の量じゃなかった」
そんなに俺が頼りないのか?どうして教えてくれなかったのか。
言ってくれれば何か力になれたかもしれないのに。
「誤魔化したつもりでも見てたんだな。でも知ったら多分、嫌われる。どころか恐怖を与えるから知らないほうがいい。俺は好きなままで今の生活を送りたい」
「は?生活に影響出る病気か?だったら尚更だ!他の奴に言えなくても俺にだけは言えって!嫌わない!怖がらない!」
「本当は知ってほしくない気もするが・・・ミケがそういうんだったら・・・」
ミケの説得に押されゆうまもしゃべらざるおえないと感じた。
それと同時に先ほど、水嶋の下に薬を取りに行った時のことを思い出した。
それはそのことをまだ隠し通してることに咎められたことだ。
せめて好きだというならミケにだけにもそろそろ真実は伝えておいてもいいんじゃないか?と言われたのだ。
が、口を開いて言うには勇気がいる。
それだけ自分にとっては怖いことなのだ。
「どうした?震えてるのか?」
先ほどまでと違い心配そうにミケはゆうまを見た。
言いづらいことなのだろうか?と、首を傾げてると意を決したようでゆうまが桜の木の下にあるベンチを指した。
「説明するとちょっと長くなる。あそこに座って話す」
「何!?そんなに複雑なことなのか?」
「ある意味、複雑!でもあんまり俺には時間が残ってないから簡単に言う!」
「は?どんなんだ!?」
ミケは眼を丸くした。
これはとんでもない寿命とか命にかかわる病気を持ってるのだろうか?それを聞き出そうとしてるのだろうかと考えた。
聞き出そうというのは不味かっただろうか?

ベンチに座るとゆうまが上の桜を見ながら話し始めた。
「桜、きれいだよな~間に合ってよかったな。明日、又昼間に来ないか?」
「いいな。ゆうまとだけだったら花見したい」
「実は俺の体の中にはケモノの血が流れてる」
ゆうまが言った言葉に耳を疑った。
「ケモノ?今ケモノって言わなかったか?て、ことは俺たちと同じってことか?」
「正確には4分の1ケモノの血であとの4分の3は人。つまりクウォ-ター(擬人の3世)だ」
擬人の3世?2世までは聞いたことあるが3世もいるんだと驚かされた。
「とはいっても俺の祖父は戦後すぐくらいに成功してなんとか人として暮らせるからって人の世に離したモルモットだけどな」
「モルモットか・・・もし最初に会った時に俺がキツネでゆうまがモルモットだったら食べてたかもな。小動物は大好物だ。しかもゆうまはおいしそうだしな」
そういうとミケはゆうまの手をとると軽く痛くない程度に噛んだ。
「ミケ?モルモットってネズミの方じゃなくって実験動物って意味の方だけど?」
ゆうまは冷ややかにミケの方を見た。
ま、間違いはよくあることだ。
「俺のケモノの血の方はウルフドッグ。つまりオオカミと犬のハーフな」
「は?ゆうまがオオカミと犬?ウサギとか小動物系じゃないんだな。そんなイメージがあるが?」
ミケは不思議そうな顔をした。
「小動物?ミケには俺がそんなに可愛く見えるのか?で、その擬人がどうも遺伝子的に今の子達みたいに優秀じゃない。俺、祖父のケモノの部分に似たみたいでさ。実は耳としっぽが出るんだ。これが困ったことに一度出たら今のお前達と違って出たら出たままの状態になる。これがなかなか引っ込まないんだ。出るタイミングとかまったく違うみたいだし。で、薬で出ないように抑えている感じかな?」
色々と人として暮らすにはしっぽと耳は不便なんだよとゆうまは言った。
「それであの薬を?」
「そういうこと。毎日飲んでる。一掃の事、もう一度今の技術でやっちゃえば薬飲まなくても人にならんか?と言ったら無理!そういう問題じゃないんだとさ。これでも大分改善してきてるみたいで薬が切れてもたまにくらいに頻度はさがってる。・・・驚いた?」
驚いた顔をしてるミケの顔をそっとゆうまは覗き込んだ。
「だよな?それって気持ち悪いだろ?不気味だろ?それを言うと離れた人とかいた。だから怖がるんじゃないかって言ってなかった。これが原因で恋人が出来てもすぐ別れちゃったりさ。俺に気を使って無理しなくていいぞ。別に人が離れるのは慣れてる。今に始まったことじゃないし・・・」
ミケの表情を見てあ。やっぱりダメだったかな?そうだよな。とゆうまは思った。
大丈夫かな?とは思っても結果的にこうなるとはわかってる。が、本心は辛い。
すっと立つと桜の木を眺めた。
知らず知らずのうちに涙が零れ落ちる。
「でもさ、安心しろよ!今の子達だったら子供とかできてもそんなこと無いようになってるから大丈夫だってさ。研究所のお墨付き。でも俺は確実にイヌ科の擬人とはそのそういうことは完全にケモノが出てくるから無理ってさ。ある意味笑えないか?擬人になるケモノってほぼオスでほんの一握りくらいしかメスはいないんだぞ?すっごい競争率なのにどうやって会うんだろうな?どうせだったら寝たら治るタイプの方がよかったな。俺もさ・・・」
「ゆうま、もういい。話さなくていい!ずっと一人ぼっちで辛かったんだろ?それよりもお前大丈夫か?俺がお前を否定したら俺自身も否定することにならんか?」
「ん?」
「だーかーらー!俺の中身、全部ケモノの血!今更、気持ち悪い?怖い?不気味?何だそれ!」
気がついたらミケがため息をつきながらイライラしていた。
すっとたつとゆうまの後ろから抱きしめた。
「もう1人で悩むな!1人で抱え込むな!知ったからにはお前に協力する。痛いとか辛いとかなんでも言えよ!俺といっしょに考えればいいだろ!」
「ミケ、ありがとう。これから何でも言う」
しゃべってよかった。育ての親と研究所の人以外に初めて理解してくれた人がいた。ゆうまには嬉しかった。
「ところでお前ってさ、耳としっぽ出てる時とかってケモノの血入ってるのに夜目利かないのか?暗い所めちゃくちゃ苦手だったよな?ケモノ語は?少しくらい分かるんだろ?」
ミケは不思議そうな顔になってじっとゆうまの顔を見てる。
「それが・・・さっぱりダメ。ケモミミ出ても人並み。ケモノ語もさっぱり。言葉がわかったらどれだけ仕事が楽かって思ったか・・・ん?」
「どうした!?」
唐突にゆうまがビクリッとなるのでミケは驚いた。
「そういえば薬が切れてて一昨日から飲んでないんだった。さっきから頭と腰がムズムズする。なーんか嫌な予感がする。即効性じゃないからその薬、すぐに効かない!しかも今着てるのそれ専用(擬人用)のじゃないんだ」
「なんだそれー!!俺、着替え持ってないぞ!心配ならそういう服着てろ!家に腐るくらいガチャのかぶりあるだろ!」
「・・・面目ないです」
ゆうまはミケに謝るしかなかった。
「明日も絶対デートな。埋め合わせしろよ!」
桜が舞う中、雰囲気も何もないままにドタバタと走って2人は家路についた。

家に着くとミケはゆうまを部屋に押し込んだ。
その間にゆうまはしっぽがでても平気なパジャマに着替えた。
丁度、着替え終わった頃にミケが水が入ったグラスを持って入ってきた。
「ほら、水。あいつらにはゆうまが酒を飲みすぎて酔っぱらったから寝かせたと伝えた」
「ん。ありがとう」
ゆうまがそう言ったところでミケは改めてゆうまの姿を見て息を呑んだ。
完全に動物の耳としっぽがはえている。
オオカミと同じ立ち耳とふさふさのしっぽ。
白くて薄暗い部屋が何故か明るく感じる気がした。
ミケは神聖動物でも見たかのように眼が離せなかった。
「よっぽどみすぼらしくて変かと思ったらなんだ!」
そういいながらグラスをゆうまに渡した。
それを早速、受け取り粉薬と錠剤を口に入れた。
「白くてすっごくきれいだ・・・」
顔を真っ赤にして唐突にミケが言うものだから飲みかけた薬をむせて吐きそうになりながらゆうまはなんとか飲んだ。
「けほけほ・・・突拍子も無いこと言うな!変な所に入りそうになった!」
「す、すまない!だけど本当にきれいで・・・み、見とれた・・・」
なおもミケは顔を真っ赤にしている。
「そ、そうか?そんなこと言われたの初めてだ。でも今日はいろいろごめんな。でも大切な事を知れてよかった」
ゆうまが顔を赤くし、もじもじしながらミケの服の裾を持った。
「ちょっと・・・頼みにくいんだけど・・・今日は・・・いっしょに寝てくれないか?」
「ん?」
こ、これは期待していいのか!ミケの鼓動が高鳴る。
「ゆうま・・・それはつまり・・・?」
俺だってオスだ!そ、そんなかわいいこと言われたら理性が・・・理性が・・・崩壊する。
ミケはごくりと唾を飲み込んだ。
なおもゆうまは顔を真っ赤にしながらじっとミケを見ながら話してる。
「その・・・恥ずかしいんだが・・・俺、仕事したら禁断症状出るんだ・・・ほら流石に仕事中にするわけにいかないし。我慢してる」
「ゆうまお前・・・」
そんなに俺のことを体が求めてたのか?それで辛かったのか?
ミケの中でそれはつまり『食べろ』と言うことだと理解した。
そっと抱きしめた。
「こーいうこと初めてだろうし、痛くないようになるべく優しくするから・・・」
「本当か?ミケ、ごめんな。言ってよかった・・・普段、ゆっくり1人で寝る方が好きだろうに。俺、仕事行くとどうしても『モフモフ』したくなるんだよな。禁断症状かってくらいすっごく無性にモフモフしたくなる。どうしてかな~?」
はあ~と恥ずかしそうにしながらため息をついた。
「よかった~ミケってじゃれるの苦手だし、俺なんかがモフモフしたら嫌がるかな~て思ってたから。普段からケモミミとしっぽ出ても触らせないし・・・」
「何!?そっちかー!!」
ミケは自分は恥ずかしいくらいに勘違いをしていたと知った。
どう勘違いしたかはゆうまには言えやしない。
「ミケをモフモフしながら抱っこして寝たい。ミケのしっぽはきっとモフモフだろうな~気持ちよさそう。普段、まったくケモノにならないし」
恥ずかしそうにしながらもゆうまは嬉しそうにしてる。
「ん~どうせだったらこれからお風呂いっしょに入って~それからミケの爪のケアとかブラッシングとかもしたい!あと肉球もぷにぷにしたい♪」
「はー!?なんだそれ!」
ミケは眼が点になる。
「たくさんモフモフしたい。アマガミとかされるのもいいかな?」
相変わらずゆうまはもじもじしてる。
が、人に撫ぜられまくられるのは元々野生の狐だったミケはちょっと苦手だ。
少し考え込んでしまった。
なんなんだ?あいつもやっぱりオスだってことか?
俺だってオスだ!いっしょに風呂入って洗ってもらって同じ布団で寝るのは魅力的!でもなぜまくられるのは・・・!でもいっしょに風呂入って同じ布団で寝たい!・・・でも・・・
ミケの頭の中はぐるぐると考えがよぎる。
複雑そうに考え込んでいるミケの顔を覗き込んでゆうまは心配そうに見た。
「ミケ?嫌だったか?」
「大丈夫だ!今日だけ特別だぞ!」
そう言いながらため息をつくとミケはケモノの姿になった。
「じゃあ風呂の準備して来るな!」
嬉しそうに廊下を駆けていくゆうま。
見送りながらはたとミケは気がつく。
「あいつは俺のケモノの部分が好きなのか?」
ちょっとどころかとても複雑だった。
ま、これから『人の俺』とは順調なら『ケモノの俺』よりずっといっしょにいられるから二人だけのどうこうはもう少しゆっくりでもいいか・・・。
と、いうことにしておくか。
ミケはそう考えることにした。

おわり。






・・・・・・・・・・・・・・・・・

読みにくい文にここまで付き合っていただきありがとうございました。
気がつきゃ、これの元になってたイベントが終わってるよ。
でもってその次にやっていたファッションコンテストも昨日終了!
昨日のメンテ明けから春のスタンプラリーたるイベントスタートですわ。
なんとか桜が散る前までに間に合ったかな?
話が飛んでたり意味不明のところは笑って許してくださいね(^^;

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