【擬人カレシ】ミケの日常(小説)

オオカミとかイヌというより・・・? 【1】

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今回は先生の方が主役な話・・・
隠してた秘密がばれちゃったどうしよう?な。
うん、気が向いたからこんな話も。

・・・・・・・・・・・・・・・

夜、食事をした後、みんなでテレビを見ていた。
が、ふとゆうまが立ち上がり生徒達の目をとめた。
「ごめん、俺、先に風呂入ってくるな。ゆっくりしてていいから」
そう言ってゆうまは部屋へ着替えを取りに行った。
その姿を見送りながら何故か生徒達にはあまり元気がなさそうに見えて仕方がなかった。
「ゆうまちゃん、疲れてるのかな?」
「あんまり体調がよくなさそうだったな」
「うん、やっぱり僕たち5人の面倒を一人で見てるからね」
今日はゆっくりやすませてあげなきゃね。とミケ、レン、巴衛は話し合った。
「ところで今日のゆうまちゃんの神秘な湯に誰が入る?貴重でしょ?」
にっこりと突拍子ないことを言ったのはレン。
「は!?お前は何考えて・・・」
驚いたのはミケ。
「ミケちゃん、忘れてない?オレも巴衛ちゃんも本当はミケちゃんに負けないくらいゆうまちゃんのことが好きなんだよ?そりゃあゆうまちゃんはミケちゃんラブだけどさ。残り湯に残るゆうまちゃんの優しい良い匂いとか体が浸かった湯とか貴重なんだよ?わかる?」
そりゃあ恋仲でいつでも触れられるミケちゃんはいいだろうけどさとレンは言った。
「変態か!ゆうまだったらこの次はこう言うぞ!獣か!?人はしないぞっ!てな」
そうミケがレンに注意したところで巴衛がもぞもぞと言った。
「でもレンの気持ち少しわかる。僕だって大好きな人の後のお風呂ってほんのり匂いするから好きかな」
「お前まで!何言ってるんだ」
ミケがそういったところでゆうまが着替えを持って入ってきた。
当然、何を話してるのかと首をかしげてる様子だ。
「何?匂いとか好きとか何を話してるんだ?ま、いいか。先、入ってくるな」
そう言って風呂場へと消えていった。
風呂からはシャワーを使ってるらしく激しく水が流れる音がしている。
「お前ら想像するんじゃないぞ!」
「ミケちゃん、逆効果!そう言われるとゆうまちゃんがどう入ってるか想像する。ね、巴衛ちゃん」
「う~ん。ゆうまさんは男の子でしょ?さすがにそれはちょっとしないけど・・・」
と、巴衛が言いかけたところで風呂場からゆうまの悲鳴があがった。
「ぎゃああああー!!」
3人とも驚いたのは言うまでもなかった。
これは何かあったに違いないと心配ですぐに3人はゆうまのいる風呂場の側までかけつけた。
「ゆうま、悲鳴あげてどうした!?」
「ゆうまさん、どうしたの!?」
「ゆうまちゃん、大丈夫!?」
それぞれに風呂の前で声をかけ、3人で扉を開けようとしたところ、中から再び悲鳴があがる。
「うわああああー!俺は大丈夫だから!!あけるなー!!!絶対に開けるなよー!!!男同士たって素っ裸は恥ずかしいんだからな!」
元気にあわただしく中から声が聞こえる。
どうやらゆうまは元気そうだ。
「す、すべって転んだだけだって!だから心配するな」
「何!?大丈夫か?怪我でもしてないか?開けるぞ?」
ミケがなおも声をかけたが中からはやはり拒否の声。
「あ・け・る・な!!本当に大丈夫だから!!心配性だな。テレビでも見てて大丈夫だから!」
「ゆうまちゃん、オシリ擦りむいてない?本当に大丈夫?」
レンも心配そうに声をかけた。
その側では巴衛も心配そうに見つめていた。
「ばかー!本当にちょっと滑って驚いただけだって!」
「ああ言ってるし大丈夫そうだね」
巴衛が胸をなでおろし、ミケもほっとした。
「んー残念!ゆうまちゃんがオシリを怪我してたらなめてあげようと思ったのに~」
ただ一人残念そうにしていたのはレン。
3人、ゆうまが何もなかったみたいで安心して又、テレビの続きを見に帰って行った。

風呂場に残ってるゆうまはほっと胸をなでおろしていた。
じっと天井を湯船につかりながらながめていた。
「なんとかごまかせたか?」
頭から白い可愛らしいとがった獣の耳が出ていた。
尻には湯船につかったフサフサなしっぽ。
「よりによって何で今出るんだよ。あんまり薬が効いてない。疲れてるのか?」
ため息をつきながらそうつぶやく。
実のところ、シャワーを浴びていたら急にムズムズして耳としっぽが出てきたので驚いて悲鳴をあげたのだ。
それで自分の悲鳴に驚いて駆け付けた生徒たちに大丈夫だと咄嗟にごまかしたというわけ。
それよりもまずい事態になった。
自分の体質上、ケモミミ&しっぽがすぐにしまえる状態ではない。
恐らく、こんな状態で外に出てけばすぐにばれるだろう。
ずっと人間だと思ってたのに『バケモノ』と知られたらどんな顔をするのか?
きっとがっかりさせてしまうのは目に見えていた。
彼らにどうやって説明すればいいのか?
いろいろと考えても考えがうまくまともらなかった。
それもそうなのだがたった今、現実はこれから水没させてしまったしっぽをどうするか?
乾かすといってもとても手間がかかる。
頭の髪の毛と違って水を含みやすいのか乾くのが遅いのが頭が痛い種。
「ああ、獣だったらそのままブルブルっとやればいいがちょっとな」
普段、それをやるとそこら中濡れるからやるなと生徒たちに言ってる手前、できない。
とはいうものの、それ以前に人間から生まれ人間として育った彼はどうやってやるかもわからないが。
「これも不完全擬人(擬人を作るための実験体)の血を引く俺の運命?くそう!正規品(ミケ達のこと)がうらやましい」
さてこれからどうするか?一度に問題が山積みになった。
ここから出ないことには自室にある耳としっぽを引っ込める薬でさえ飲めない。
自分が擬人のクオーターだということはこの家では恋人のミケと元々飼い犬だったアヤトだけ。
それ以外の生徒は知らない。
彼の事情を知ってる、育ての親の海里と由良、たまたま場所柄知ってしまった職場の人(擬人研究所の医療部の人、一部のアニマル部の人)は生徒に別にカミングアウトしても擬人化動物が近頃は普通になったし、ましてや擬人が多く住むどころか毎日生まれるような発祥地となれば誰もどうこう言って嫌ったり怖がらないだろうと言ってはくれる。
が、ゆうまは小さかった頃、まだ擬人が今ほどいなかったこと、一族に擬人がいたことを知らなかったこともあり、本当の親からその体質のせいで突然変異のバケモノ扱いされ、虐待を受けた。
挙句に捨てられたこともあり、やはり自分からは隠してるというより言えない。
そんな状態で耳としっぽが出た以上、どうやってここ(風呂)から出るか?
暫く考えたが考えがまとまらないままだった。
「でもそろそろ出て乾かさなきゃな。これじゃあ・・・」
いつまでたっても耳と尻尾を引っ込める薬のある場所にいけない。
どころかほかの生徒に見せられる状態じゃない。
そう思って湯船から上がった途端に視界がかすむのを感じた。
「え?何だ・・・・・・・・・・?」
そう思ってたらすぐに元に戻ったが。

「ゆうまちゃん、いつまでお風呂入ってるの?兄ちゃんとアヤトちゃんが宿題でわからないことがあるから教えてほしいって来てるけど・・・え!?」
ゆうまがいろんな意味でとんでもないことになってるとは知らずに風呂場のドアを開けたのはレン。
すぐに風呂から上がろうとしてる裸のゆうまが目に入ってきた。
しばらくゆうまに目を止めたまま無言だったがいつもと違う耳としっぽを見てレンは悲鳴を上げた。
「ぎゃああああああー!ゆうまちゃんが~ゆうまちゃんが~どうしたの!?なんでしっぽと耳生えてるの!?いやあああああああー!!」
「・・・・・ちょ・・・・まって・・・・・」
再び視界が急に合わなくなり、ふらふらしながらゆうまはレンに言おうとしたがそのまま床へ座りこんでしまった。
こんな状態で何か言わなくてはと思うがゆうまの意識が朦朧としかかる。
当然、さわぎに気が付いてほかの生徒がかけつけるのがわかった。
『もう、隠しきれない』ゆうまの頭の中によぎった。
案の定、ほかの知らなかった巴衛とハヤテもかけつけて悲鳴をあげ動揺する。
「うわああああー!何!?なにがどうなってる!?」
「ひゃあああああああー!ゆうまさんが・・・ゆうまさんが・・・うわあああああんっ」

最悪だ。
そりゃあ悲鳴あげるよな。
人だと思ったのが『バケモノ』じゃな。
もう最悪だ!最悪だ!

「・・・・おねがい・・・み・・・みないで・・・・こ、こわい・・・・・」
ゆうまは耳を手でかくし、しっぽを丸めた。
それと同時に思い出す辛い過去。
本当の親から浴びせられたセリフと暴力。
「や・・・・だ・・・・・・やだ・・・・・・」
知らず知らずのうちに涙がこぼれた。
が、そこへ遮る様に声がかかった。
「ああ。何かと思ったらこれか。ゆうま、なんだ?しっぽ水没させたか?ほら泣くな。乾かしてやるから!それに前くらい隠しとけ」
何気にミケは声をかけそっとゆうまにバスタオルをかけた。
アヤトも何もなかったかのようにいつも通りの口調でゆうまに話しかける。
「お前、大丈夫か?すっごく顔赤い。のぼせたか?」
アヤトがゆうまの顔を覗き込んだ。
「アヤトお・・・・大丈夫じゃないよ・・・・・急にミミとしっぽが出て・・・・・・一番知られたくなかったことがばれちゃうし・・・それに・・・・・・」
体の体調があまり良くないことを伝えた。
そっとミケはゆうまに寄り添って優しく頭をなぜた。
「・・・頭がぐるぐる・・・」
又、嫌われるかもしれないというのが脳裏によぎる。
それと同時に何故、ケモノの血が流れてるんだろうと思うと寂しさがこみ上げて又、泣けてきた。
それを見てアヤトはキッと何がどうなってるのか?状態がわかってない巴衛、レン、ハヤテを睨みつけた。
そして、無理矢理部屋の外に押し出すと一言吠えた。
「ワン!(お前らちょっとあっち行ってろ!)」
バタンと音を立ててドアを閉めた。

残された3人は居間で想像で議論が持ち上がっていた。
「どういうこと?ゆうまさんがケモノだったってこと?・・・そうじゃないふりして実は獣語で僕たちが話してたの分かってたのかな?」
シュンとしながら巴衛がため息をついた。
「恐らくそうじゃないか?研究所にいる時にうわさで聞いたことがある。先生の数が生徒(人になりたがってる動物)に対して極端に希望者が少ないと聞いた」
ハヤテが研究所にいたころの話をした。
「兄ちゃんも聞いたことあるんだ。で、人間になったってことで卒業生が本来は面倒見れない決まりになってるけど先生として見るってやつかな?」
はあ~と呆れながらレンはため息をついた。
「卒業生だけは勘弁だって思ってたのにな~。ちゃんとした人間がよかった」
「うん、そうだよね。ケモノはちょっとね」
「それは言えてる」
3人そろって何回目かのため息をついた。
そこへアヤトが無言のままリビングに入ってきて食器棚からグラスを出すとキッチンで水道から水を注いだ。
多分、ほとんどしゃべっていたことが聞こえていたんだろう。
「お前らの無駄吠えうるさいぞ。ゆうまなら着替えてもうすぐ来るから聞けばいいだろ。ただ、体調もあまり良くないみたいだし、泣かしたらただじゃおかんからな!」
ギロリとアヤトは睨んだが当の3人は何を怒ってるのか?わからなかった。
そう言って無造作にグラスを机に置いた。
が、一向にアヤトは飲む様子もなくお怒り気味。
アヤトに恐る恐るハヤテは聞いた。
「アヤト、それ飲まないのか?」
「ゆうまの薬用!言っておくけど、お前らが思ってるアホなことよりアイツは複雑だからな!」
何もあいつ(ゆうま)のこと知らないくせに!獣の血が流れてると知った途端に手のひらを返したこいつらが腹立つ!とアヤトは思った。
「複雑?どう?」
でもケモノの血が流れてるのはかわらないんでしょ?とレンは言った。
巴衛もそれにうなずいた。
「アヤトはどうして知ってた?」
ハヤテはアヤトに問いただした。
「俺がケモノ(イヌ)だった時の飼い主。ずっと側で見てたから嫌でも知ってる。まあどっちかと言うとこの俺がゆうまの面倒見てたけどな」
そう話したところでリビングのドアが開いた。
ゆうまとミケだ。
ゆうまは案の定と言うべきか?ケモミミとしっぽが出たまま。
やはり見られるのは彼にとって恐怖のようで立ち耳なのにねかせ、しっぽも丸めてミケの腕にしっかり抱きついてた。
いつもの元気がいいゆうまからは想像できない姿だった。
しかも心なしか小さく見えた。
服装はゆうまの物は普段、人用でしっぽとか出すようにできてないのでミケから借りたようだ。
ゆうまが着るには大きめのブカブカのパジャマの上着のみだった。
丸めてたとはいえ、裾からしっぽが見えていた。
一瞬、裾からしっぽの他にも中が見えるんじゃないかとリビングにいた4人は息をのんだ。
が、丈がゆうまに対して身長が高いミケのサイズ。
ゆうまの身長では膝くらいまで裾がきているので見えることはなかった。
少しの間とはいえ、いつもゆうまが着てるパジャマじゃ中が見えるからとミケが機転を利かせ着せたのだろう。

「ゆうまちゃん、どういうこと?」
いつもでは考えられない鋭い目つきでレンが言った。
「隠してたのか?」
ハヤテもそうだ。
「どうして?」
寂しそうに巴衛が言った。
自分達は『人間に』色々なことを教えて貰っていたと思ってた。
それなのにケモノだという事実を隠され裏切られた感が彼らにはあった。
ゆうまの本当の言えない理由を知らないからだ。
「ご、ごめん・・・」
弱々しくゆうまは彼らに謝った。
「ゆうまちゃん、正直、ケモノの血が流れてる人なんかに人間のことなんて教えてもらいたくない!」
「あ!馬鹿オオカミ!それは・・・」
アヤトが青ざめた。
それは明らかにゆうまに言ってはいけない地雷。
知らないとは言えレンはゆうまが一番嫌がる言葉を踏んだのだ。
家にいる時に自分に流れてるケモノの血を苦にしてゆうまが自分で自分の体を傷つけようとしてる姿をどれだけ見たか。
それを止めようとしてる人の姿、声をどれだけ聞いたか?
自分はイヌで一番側にいたのに止めることができず、鳴くことしかできなかった。
『ゆうまを側で守りたい!』
人になろうと決めた理由もこれだ。
アヤトは又、ゆうまがするんじゃないかと焦った。
「馬鹿らしい!お前等、無駄吠え多すぎ!ケモノの血がもろに流れてる奴に否定されるゆうまがかわいそうだ!人に耳と尻尾見せるのがめちゃくちゃ嫌で怯えてるゆうまいじめて楽しいか?」
アヤトは咄嗟にゆうまをかばった。
それに賛同するように言ったのはミケだった。
「言えてるな!ゆうまは多少ケモノの血が流れてても人としてしっかり生きてるのにな。たかが人間の体を手に入れて数ヶ月のケモノが偉そうに!」
「・・・・・・・ミケ、アヤト・・・・・みんなもやめろよ・・・・・ごめん・・・・・俺は・・・・・・」
ちゃんと話さなきゃと思う意思とは反対に急にゆうまは目の前の視界がゆがんでゆくのを感じた。
さっきから体の具合がおかしい。
吐き気さえ感じるくらいに。
そのまま、ぐったりとミケにもたれかかるように倒れた。
意識が朦朧とする中、声だけが耳に入った。
「へ!?おい、ゆうま?どうした?ゆうまーーーーっ!!」
心配するミケの声。
もう答えることもできなかった。
「擬人研究所医療部・・・擬人病院の水嶋に連絡しろ!」
咄嗟に思い出したように言うアヤト。
「え!?」
アヤトの言葉に戸惑う他の生徒達。
「救急車だ!何ぼさっとしてる!早くしろ!専属医に連絡もしろと言ってる!ゆうまをこのまま殺す気か!?」
生徒達が何やらあわててる声だけが聞こえた。

みんなで何あわててるんだ?
ごめんな・・・・・・お前達にはちゃんと・・・・
受け入れてくれるといいけど・・・・・・
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