【擬人カレシ】ミケの日常(小説)

オオカミとかイヌというより・・・? 【3】

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その日、ゆうまは夢を見た。
それは自分が今の家に来た時のできごとだった・・・・

真新しい大型犬が入りそうな大きなケージに入れられていた。
何をどう取引されてるのか?子供だった自分にはわからない。
首に犬用と思われる首輪。
薄汚れた大人用のカッターシャツだけ。
親から最後にかけられた言葉だけが思い出される。
「やっとこれでお前の顔を見なくて済む。バイバイ、バケモノ!」
「せいぜい、変態に買われて調教されろよ!」
ただ怖くて檻の隅で泣きながら震えていた。
いつからこうなっていたのか?
もうわからないほどに親から嫌われ叩かれた。
どんなに助けを求めても届かない。
挙句に今の状態。
お父さんもお母さんもバケモノで何もできない自分なんかいらない。
自分の入ったケージが車のトランクに押し込まれ、動き出した頃泣きつかれてそのまま寝てしまった。

目を覚まして気がついたら檻の外の景色は明らかにいつもと違う。
部屋の家具がどれもいつもより高級感がある上品さ。
たまに人が自分の様子を見にケージの中をちらりとのぞく。
何が起こるのか?怖くて、怖くて目を合わすと叩かれるのではないかと隅で怯えた。
本当は心配そうに見ていただけなのに当時、あるのは恐怖だけ。
やがて人の話し声がしてくる。
今じゃ聞き慣れた声の主。
「え?随分、早く来たものだな」
「海里様、ですがどうみても・・・・・・」
「何?」
海里と言うのちに自分の父親になる彼が覗き込み自分の耳と尻尾に息を呑んだ。
「種族は・・・灰色のオオカミってところか?」
じっと奥の隅に縮こまって震えてる自分をじっと見ていた。
が、自分たちが頼んだ何かと違うらしく海里が急に声を荒げる。
「なんだこれ!?これはどういうことだ!俺達は子供代わりになる『子犬』を連れて来い!と言った!誰が子供をつれて来いといった!?誰が人身売買しろと言った!?」
「ですが、私どもも珍しい犬としか聞いてなくて・・・・」
「ったくどこのどいつだ!擬人たって一応、人権存在するだろ。それを珍しい犬とだまして引き渡して!」
そこへドアが開き状況がわかってないらしく、嬉しそうな声が入ってくる。
「海里、帰ってたの?僕達の子犬来たんだって?どんな子?どうでもいいけど、部屋の外まで声が聞こえてたよ?何、使用人相手に怒ってるの?」
「見ればわかる!俺たちが知らん間に犬じゃなくて人を買わされた事実だ!」
声にゆうまはびくりとなった。
ここでもやっぱりいらない存在・・・・・
「あ~あ、海里が大きな声出すからすっかり怯えちゃってかわいそうに。グレーのオオカミの擬人ぽいね。ねえ、海里?でもよく見るとかわいいかも?」
生まれて初めて『かわいい』と言ってくれたのはのちに自分のもう一人の父親になってくれる由良。
「は?由良、お前は正気で言ってるのか?こんな薄汚れたガキのどこが・・・」
「本気。怯えてるし、あまり顔をこっちに向けてくれない。きっと怖い目にあったんだろうね?」
そう言ってケージの鍵を開け自分に手をのばした。
「おいで?怖がらなくていいよ?オナカすいてない?」
怯えきってるゆうまを必死になだめ、どうにか檻から出そうとする由良。
「おい、待て由良!かまれたらどうする!?人間の姿をしててもこんな小さいんじゃ人の言葉自体通じるかわからないぞ」
「そうだとしても、このままにしておけない。あの子、すっごく怯えてるんだよ?海里はこのままにしておいても平気?そもそも小さいって言っても明らかに小学生くらいでしょ?言葉くらいわかると思う!海里はいらないからそんな事言ってるわけ!?」
「ああ!もう、わかった!普段、やらないが特別サービスだ!」
もう一つ、伸ばされた手。
恐る恐る顔をあげるとあの海里の頭には自分と似たようなとがった白い耳。
尻には狼と思われるフサフサのしっぽ。
「お前と同族だ。ここは大丈夫だ!何もしないから。ほら、出ておいで・・・・」
自分と同じ耳と尻尾が生える人がいたなんて!すっごくあの時は驚いた。
そのまま、ゆうまは恐る恐るではあったが手を伸ばし、海里によって狭いケージから出された。
出て来た時は二人とも先ほどまでと違い喜んでゆうまを代わる代わる抱きかかえた。
が、当のゆうまはというとやっぱりまだ怖かった。
「・・・・・ちょっと匂うな。由良、俺こいつと風呂入ってくる」
しばらくしてはたと海里はゆうまの状態に気がついた。
それは明らかに何日も風呂に入れてもらってなく、すっごく汗やらホコリ臭かったのだ。
「うん、その方がいいみたいだね。じゃあ、僕は使用人に頼んで着替えとバスタオル多めに用意してもらってくるよ」
「・・・・おふろ?・・・・・嫌だ!ごめんなさい!ごめんなさい!何もしないから!言うこと何でも聞くから!許して!」
ゆうまは海里に抱きかかえられていたが急に震えだし、怯えだしたかと思ったら暴れだした。
「あ!こら!風呂嫌いか!?でもこのままじゃ病気になる。何としても入れるからな!」
「嫌だ!ゆるして!いやあああああー!」
「さっき、お前は何でも俺の言うことを聞くと言ったな。だから大人しく風呂に入るんだ!」
「お風呂だけは嫌!それだけは!」
泣き叫び嫌がるゆうまをなんとか格闘しながら海里は風呂場に連れて行くことができた。
その頃には観念したのか?先ほどまでと違い、ゆうまは不思議なくらいおとなしかった。
「大丈夫、何もしない。風呂に入れるだけから!これ、犬じゃないのに失礼しちゃうな」
黙ったまま俯いてるゆうまに優しく言って親からつけられた首輪を海里が優しく取ってくれた。
「このボロボロの服も・・・・お前には似合わないよ。明日、何か見に行こうか?」
そう言って唯一着ていたカッターシャツを脱がしたところで海里はゆうまの体を見て息を呑んだ。
ゆうまが極端に怯えてる原因を見つけてしまったのだ。
無数の殴られた痣とタバコの火を押し付けられた痕。
しかも明らかに最近付けられたものではない。
「えっと・・・そういえばお前、名前は?」
「・・・・ゆうま」
俯いたままぼそりと答えた。
「俺は海里と言うんだ。自己紹介遅れたな。ところでゆうま?これ、どうした?誰につけられた?」
心配そうに声をかけたがゆうまはうつむいたまま、首を横に振るだけだった。
これが暴力を振るってた相手によって口止めされてる事は海里からは明らかにわかった。
「・・・・・・そうか。」
あの時、海里はそう聞いただけで少しゆうまのからだの跡を見ながら考えこんでいた。
ゆうまはいけないことをしたんだろうか?と不安になったがその後、海里はそのことについて何も触れずに風呂に入れてくれた。
ずっと親にひどい目に合わされてたゆうまは何かの罰を受けるところですごく冷たい水を頭からかけられるか、めちゃくちゃ熱いお湯をかけられる場所だと思っていたが、生まれて初めてお風呂は暖かくて落ち着くし、気持ちが良いものだということを知った。
この人たちは何もしないのだろうか?初めてそう思った。
シャンプーをするとゆうまの毛が真っ白でやわらかいサラサラな毛だと知り海里は驚いた。
当然、風呂から上がったのを迎えた由良も。
「とりあえず、丁度いいパジャマが無かったから僕の上着。うん、似合ってる。へえ。ゆうまっていうんだ。しかもグレーじゃなくって真っ白だったなんて・・・・・海里と同族ぽいから似てるかな。血は繋がってないのにね」
由良はゆうまの頭を優しくなぜてくれた。
その後、大きなふかふかな布団に案内されて今までに無いくらい幸せを感じた。
が、夜中に慣れない布団のせいか目が覚める。
ここに来るまで今までずっと冷たい床の上で寝ることを強制されていたからだろうか?
ふかふかすぎて寝れないという生まれて初めてちょっと贅沢な悩みだった。
ふと耳を傾けると海里と由良と数名の使用人だろうか?隣の部屋で何かを真剣に話してるようだった。
気になってそっと部屋のドアを少し開けてのぞいた。
「風呂に入ったらそんな状態だった。ひょっとしなくても・・・・ほぼ確定な状態だ。心配してるだろうし、すぐに親御さんの元に帰してあげようとも考えたんだけどな。そんな状態じゃな」
「そんな!帰したら死んじゃうんじゃ・・・」
「それでは心配どころか商品にならない返却物扱いでもっと酷い目にあわされるのが目に見えてますね」
「そうなってもおかしくないな」
「かわいそうに・・・・何で親がそんなことをするのか?」
「親がそんなことするなら、俺達の手で育ててあの子には幸せに笑ってすごしてもらいたい。そうしてあげたい」
「そうだね・・・幸せにしてあげたいね。もう怯えて泣かなくていいように・・・・」
「彼の身辺を少し調べてみます。恐らく辛い情報ばかりでしょうが・・・・」
「私はこちらの手続きを・・・・あとはこちらですね!」
その時は何のことか?自分のことを話されてる事はわかったが何のことかわからなかった。
気がつけば朝になっていた。
部屋の中に朝日が射し込んでいた。
自分がそっと扉からのぞき込んでるのを海里と由良が気がついて優しく笑いながらゆうまを部屋の中に迎え入れてくれた。
「お。ゆうま、起きてきたか?おはよう」
「良い朝だね。ゆうま、突然だけど君に僕達からお願いがあるんだけどいいかな?」
唐突すぎて、自分には何のことかわからなかった。
が、彼らはさっきまでと違い真剣な眼差しを自分に向けていた。
こんな状態じゃ例えこの後に変な事を言われるにしてもとりあえずうなずいて聞くしかなくて・・・
すると海里が後ろに隠していた白い花できれいにまとめられた大きな花束をゆうまに手渡した。
「ふえ?な、なに??」
びっくりして思わずおろおろしてしまった。
「俺と由良の子供になってくれないか?」
「え!?でも・・・・」
「俺達は男同士結婚してる。が、どんなに望んでも2人の間に当然、子供は恵まれない。それでも子供が欲しかった」
「ゆうまはね、本当は僕達のところに生まれてくるはずだったんだ。けど、間違ってコウノトリさんが他の所へ運んじゃったんじゃないかなって。お願い!ゆうまのこと大切に幸せにするから!」
「・・・・・けど、僕じゃバケモノで迷惑かけちゃう!折角、海里さんと由良さんに良くしてもらっても僕じゃ・・・・」
「ゆうまはバケモノじゃないと思うけど?僕たちにたっくさん甘えて、いっぱい笑って、泣いて、たまには迷惑かけてもいいし、ゆうまは同じ年の他の子より親の愛情知らないから僕たちがその分たっぷり注いであげる」
「う、うん。僕でいいなら・・・・おねがいします」
「これで俺たちの子供の誕生だな。ゆうま、もう耳とか尻尾とかで悩まなくていい。出しててもここは誰も何も言わないから・・・・」
「親っていうより年の離れたお兄さんみたいかな?パパって呼んでね」
「おいちょっと待て!父さんと呼ばせたい!」
「ここはパパって呼ばせた方がかわいいって!」
そのやり取りに思わずゆうまは笑ってしまった。
それを見た海里と由良はようやく笑ったゆうまの顔がかわいらしく思えた。
考えてみればそれが初めてだったのだ。
「じゃあ、海里父さんと由良パパでいいの?僕にお父さんが二人できたの?父さん、パパありがとう。大好き」
ゆうまは嬉しそうに二人を抱きしめた。


気がつくと病室のベッドだった。
閉められたカーテンからは朝日が漏れていた。
まだ時間が早いらしく廊下を歩く患者やお見舞い客の足音も聞こえなかった。
「あれは子供の頃の・・・・うわぁ~!何であんな夢を今更!?今思うとめっちゃハズッ!だいたい、父さんもパパもあれじゃあ結婚する時のプロポーズだって!」
恥ずかしさにゆうまは顔を枕に押し付けながらもだえた。
「時間の流れもおかしかったな。夢だからこんなもんか」
実際は自分が来て父親たちは出るところに出したんだろう。
詐欺に遭ってるのだから当然だ。
行く当ても無くなっていた自分をそのまま放り出すわけにもいかないし、何らかの手続きとかもあったんだろう。
家には置いてくれたが半年ばかり『子供になってくれ』と言う話は無かった。
どころか彼らは出かけてあまり自分の側にいなかった気がする。
とはいえ、一日一回は二人そろって家へ電話を入れてゆうまと他愛も無い話をしてた。
今思えば、彼らなりに心配してくれたのだろうか?
その間、家の使用人たちに不憫に思われたのか?一緒にご飯食べたり遊んでもらったり、学校に行ってない自分のために勉強も教えてくれた。
しかも、子供でもできる簡単なご飯の作り方とか何とか生活ができるようにといろいろ教えて貰ってた。
自分に養子になると言う話が来た頃には大分、自分で身の回りが一人できるようになっていた。
その頃になると使用人たちとも打ち解けてたわけで今更、主人と召使いの関係もなんだか状態でゆうまは坊ちゃん扱いをするのを断ったほどだ。
自分が実は擬人のクオーターだとわかったのもこの時期だった。
それから今までの生活とは一変して海里、由良によって大切に育てられた。
今じゃ本当の親がどんな顔をしていたのか?わからないほどに。
「多分、俺のこと水島経由で実家に連絡行ってるだろうな。みんな心配してるだろうな?そういえば・・・」
自分の髪の毛に触れた。
『耳としっぽを出しててももう大丈夫だから・・・』と二人の父親をはじめ、何人か心配して言ってくれたのに自分の生徒達が言ってくれるまでどんなに言われても出すという勇気が出せなかった。
どころか髪の毛を茶色に染め、薬で耳と尻尾が出ないように押さえ、ケモノの血が流れてる部分を隠した。
元から獣の耳も尻尾も生えない人だったかのように。
あれが見つかるとみんな嫌がるのだと思っていたから。
髪を染めたときは流石に海里と由良にも驚かれ、悲しい顔をさせてしまった。
「良い機会だからあいつらが来る前に・・・・」
自分を変えるために。
そう考えがまとまるとゆうまはナースコールを鳴らした。

それから数時間後・・・・・・

「お前ね、思い切った事やりすぎだって!ここの研究所、セキュリティー厳しいから名札からIDカードからみーんな証明書写真書き換えだろ。まあさ『ありのままの自分作戦』?はいいけど、年度末にしろと部長が呆れかえっていたぞ。で、これが新しい方な」
「ごめん。けどさ、今がタイミングかな~と。お前だって耳と尻尾くらい出して歩けみたいなこと言ってたろ?」
「はいはい、言いましたよ?でも、ゆうま様は一気にやりすぎかと思いますよ?少しづつでよかったんじゃ?看護師達もゆうま先生の変わりっぷりにドびっくりだって!」
「やりすぎた?」
「はい、やりすぎです。専属世話係の兄貴が見たら卒倒レベルだな。実家に置いてきて正解だよ。ところで薬は今残ってるので最後で本当にいいのか?」
「うん、あれは御守りで取っておく」
「あのさ~、ずっと薬を飲んでたから副作用バリバリだけど平気か?それで帰るんだぞ?」
「飲むの止めたら暫く耳と尻尾出っぱなしってやつ?まあ何とかなるかな?」
「・・・・・あそ。強くなったもんだな。関心はするが、玄関出た途端に泣いて帰ってくるなよ?」
「しないって。ありがとう、和樹」
「何!?急に名前っすか?名前で呼んじゃう!?今度、生徒抜きで一緒に2人で飲みに行く?」
「いいよ。ただし、お前のおごりだったらな」
「ま、まあ快気祝いってことで。どうせだったら面白い居酒屋でも・・・・」
「あれか?この前できたとか言う実験室風居酒屋?ちょっとそれは・・・・・」
「・・・・ゆうまっち、やっぱ普通のおとなしい居酒屋にしません?さすがに仕事以外に試験管やらビーカーやらフラスコ見たくない」
「言えてる。じゃあ焼肉居酒屋とか・・・・」
「ゆうまちゃん、おっはよー!迎えに来たよ~んん?」
「ゆうまさん、おはよう。え!?」
「なんだ?焼き肉がどうとか?はあ!?」
「ゆうま、大丈夫か?迎えに来た・・・・・」
「おはよう、もう準備はできてる・・・・お!?」
迎えに来た生徒達がゆうまの姿に眼を止めて暫くじっと見たままになった。
「えっと・・・・?へ、変・・・・・だったか?じ、地毛に戻したんだけど・・・・・・」
おずおずしながらゆうまは水島の後ろに隠れた。
「やっぱり、元に染め戻して耳と尻尾隠してから・・・・帰ろうかな?水島、やっぱり薬の処方箋だして~」
「あのさ、ゆうまっち?変なところでヘタレないでくれる?玄関どころか、部屋で?だから、一気にやりすぎだって・・・」
水島がため息を出して呆れかえったところで生徒達がようやく反応して悲鳴をあげた。
どうやら、ゆうまが思ってる幻滅とかがっかりとかの悲鳴ではなく、黄色い悲鳴のようだ。
「うわああああああー!なになに!?」
「か、かか・・・・」
「白い子・・・・白い子・・・・」
「ぎゃああああああー!は、鼻血でそう・・・・」
「ゆ、ゆうまあああああー!どうしたその頭はー!?」
大パニック状態だ。
「こ、こら!ここ病院だ、静かにしろよ!他の患者さんもいるんだし、迷惑だ」
相変わらず、水島の陰からこそっとのぞきながら生徒達を注意するゆうま。
「が、がお?(にいちゃん、ゆうまちゃん白い子だったみたいだよ?)」
「がお!ガオ・・・ガオ・・・ガオ・・・(ヤバい!かわいすぎる・・・・鼻血でそう・・・・)」
「が、がお~(もう~か、かわいすぎだよ。ゆうまちゃん~)」
「きゅ~ん(余計にオスだかメスだか外見わからなくなった)」
「こ、こん(ふええええ~どうしよう。ゆうまさんが可愛すぎて僕、ドキドキが止まらないよう)」
「こんこん!(ゆうまの馬鹿。おかげで敵が増えた)」
そんな生徒達の様子を見ながら水島はニヤニヤ笑いながらゆうまにはなした。
「あーあ、ゆうま先生のせいで生徒会議がはじまちゃったみたいだね?けど、あの様子じゃ心配ないと思うけど?」
「・・・・・・へ?」
「だって~よく見て見ろよ。あの子達、みーんなゆうま先生の姿を見て顔が真っ赤。恥ずかしそうにしてるし~」
「ん?」
「みんなそろってゆうま先生に惚れちゃったんじゃないか?ははははは・・・・」
「へ!?」
「もてる男は辛いねえ~ゆうまクン♪」
「はあ!?俺、男だけど?」
「彼らには関係ないのかもね?ほら、こんなところで抱きついてしっぽ丸めてないで行けって!」
「え、あ・・・ちょっとお~」
「何やってるんだ?自分の生徒なんだから恥ずかしがること無いだろ?じゃ、あれの打ち合わせは又、今度な!」
そう言って水島はスタスタと足早にゆうまを置いて部屋から出て行ってしまった。
「えっと・・・・その・・・・家に帰ろ・・・・・」

帰り道、家まで歩いて帰ることになったが生徒達は何も話さない。
どころか、ちらちらと自分を見てるだけ。
何か自分に言いたいのだろうか?でも言えないとか?と考えてしまいゆうまは戸惑った。
やっぱり呆れ返られた?
歩いてた足を止めて前を歩く彼らに声を何とか出してかけた。
「えっと・・・あの・・・・俺、変だった・・・・・よな。・・・・やっぱり、このままもう一回染めに美容室に行って来る。で、その帰りに研究所に戻って薬ももらってくる」
さっきまでは勢いでそうするべきだと思ったがやはりよくなかったのだと思った。
ただでさえあんなことがあった後。
生徒達も受け入れられないのだろう。
そう言った途端に生徒達は驚いた顔で振り返りミケが戻ろうとするゆうまの手をつかんだ。
「ダメだ!・・・・その・・・・」
顔を赤くして恥ずかしそうにしながら言う。
「この方が似合いすぎてる。なんで今までそうしなかったと聞きたいくらいだ」
なんだか告白のような言葉。
「え?でも・・・・」
予想外の言葉にゆうまはとまどった。
「わかってる。歩くことにしたんだろ?大丈夫だ。怖いなら手くらい・・・」
そういうとため息をついた。
「ゆうま?お前、立ち耳だろ?耳を寝かせて目にいっぱい涙ためながらオロオロしながら尻尾丸めて歩くなって!」
「え!?そんなつもりは!」
「本当に狼とか犬か?さっきから気になるがそれじゃあ天敵に睨まれて怯える小動物だぞ?さっきからすっごくそそられる。捕食動物みたいに追いかけて咬みたくなる!誰か先に噛まれる前に俺が試しにかぷっと首筋でも噛んでやろうか?」
「はあ!?誰が小動物だ!捕食動物だ!ミケの馬鹿!噛もうとするなー!!」
「よし!やっと耳が立ったな。ほら行くぞ!」
そう言って手を取ろうとしたところでハヤテがゆうまを後ろから腕に抱えた。
「ミケ、悪いな!うちの一族、白は守る決まりでな。お前の獲物は俺が貰った!家までダッシュ!」
そういったところでゆうまを抱きかかえたまま走り出す。
「ぎゃああー!なになになに!!」
それに怒りを露にしたのはミケ。
「ハヤテーッ!!横取りか!?奪い返す!それは俺の獲物だ!返せー!!」
「んふふふふ、そう言うことなら・・・・・ゆうまちゃんこっちにおいで~!」
ニコニコしながら今度は走るハヤテの横をレンが追いついてきて手を伸ばした。
「へ!?なんだなんだ?」
言われるまま伸ばすと今度はレンがハヤテからゆうまを奪い手を取り走る。
「ゆうまちゃんと愛の逃避行☆大丈夫だよ~ゆうまちゃんは大切な獲物だもん。大事に痛くないように食べてあ・げ・る・♪」
レンが嬉しそうに言ったところでゆうまが蒼白な顔で手を振り払い、後頭部をなぐった!
「誰が獲物だー!食いモンじゃないぞー!!大体、お前が言うとエロいんだよ!何考えてるんだ」
立ち止まり、仁王立ちになりながらぷりぷりとゆうまは怒った。
その証拠に尻尾が鞭のように動いてる。
「ゆうまちゃん、何で俺だけ・・・・にいちゃんとミケちゃんだって・・・・・・」
「言い訳無用!お前も同罪」
ふうとため息をつくと後から走って追いついたハヤテとミケを睨みつけた。
「ミケ!ハヤテ!何のつもりだ!?俺は獲物じゃない!それ以前に道路で急に走ったらあぶないだろ!」
「あ。こらこら、巴衛とアヤトも!お兄ちゃん達が急に走るから!」
転ばないか?心配そうに見てる裏腹に後から走ってきた巴衛とアヤトはニコニコと笑ってる。
ここは「なんで、急に走って俺達をおいてくんだ!」と真っ先にアヤトが言うかと思ったんだがとゆうまは予想外な2人の反応に首を傾げた。
そこへ巴衛が嬉しそうに話し始めた。
「やっとゆうまさんがいつもどうりになったね!」
アヤトも腕組みをして納得するようにうなずいてる。
「いつまで小動物以下の行動するのかと見てられなかったがやっと戻ったか。遅すぎる!」
「は!?なんだそれ!みんなそろって・・・・もう。少なくとも俺の方が人間だし~まったくお前達はやることが獣のまんま!いつになったら・・・・・」
急にクスクスとゆうまは笑い出した。
生徒達の行動がおかしくてしかたがなかったのだ。
そして、ゆうまは生徒達にいつもの笑顔でこう言った。
「でも、ありがとうな。なんかすっごくふっきれた気がする」
うんと、背伸びをした。
「あ。そうだ!」
急に思い出したように生徒達に話し始めた。
「明後日さ、新しい生徒2名来るから!例の俺の隠し生徒ね」
「はあ!?」
声を上げて生徒達は驚く。
「クラス割りは又、彼らが来てから発表ね。結構、特徴ある子達だからお前たちびっくりするかもな」
ゆうまはいつものようにニコニコしてる。
さっきまでの怯え方はなんだったのか?
いつものゆうまにもどって生徒たちは安心だが、ゆうまなりにびっくりサプライズを用意して反応をうかがってるのはよくわかった。
「なんなんだ!?あいつは!さっきまで小動物ぽいと思ってたが・・・・・」
ハヤテは溜息をついた。
「喜び方がイヌだな・・・・・」
呆れかえってアヤトがつぶやく。
「んふふ~少しオオカミぽい気もする~ゆうまちゃん、かわいいよね!」
笑ってるのはレン。
「ま、元の元気なゆうまに戻ったからいいんじゃないか?」
やっと元のゆうまに戻ったと安心するミケ。
「そうだよね。ゆうまさんはゆうまさんだもんね」
巴衛も安心して笑っていた。

おわり
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

気が付けば、これを書くのに一年かかっていた・・・・・
なんてこったい!
暇を見つけてちょこちょこ書いてたからこんなもん?ですかね??
丁度、公式のユウとツバキが来る前に書き始めて、気が付けば彼らが来てから1年以上経過。
もっと早く書きたかったのに~いろいろ書きたいのに~ノロい自分があかん!
まあ、ユウとツバキが来る前の話ってことで。
今度はケモミミ&しっぽにようやくなれたゆうま先生とササメ君が来た日の話とか今度は書いてみますわ。
まあこの話のつづきみたいな感じで・・・・
早くかけるといいなあ~(^▽^;)
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